ー序ー
江ノ島あたりで砂の城をつくる会
海辺の砂で小さな城をつくる――
何の得にもなりません。何の役にも立ちません。
汗を流し、へとへとに疲れ、やっと完成した頃には潮が満ちてきて、
また、ただの砂浜に戻ってしまうのですから。
そんなむなしい行為を、私たちは20年も続けてきました。
何故? と聞かれても困ります。
自分たちにも、わからないのです。
最初の数年は、技術が向上する喜びがありました。
つくるたびに新しい方法を思いつき、
次の機会にそれを試すと、見違えるような出来になったりしました。
いつしかそれもなくなり、ここ数年は明らかに停滞しています。
以前につくったもののほうが良いと思うことが増えています。
だからといって、やめようとは思いません。
今年の夏も浜に出て、スコップで掘り、バケツで運び、へらで削って、
満足したり、口惜しがったりすることでしょう。
誰かのセリフではないけれど、
熱い太陽が照りつけると、
人は愚かなことがしたくなるのかもしれません。
よろしかったら、私たちと一緒に馬鹿になりませんか?
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